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ロシア革命時、旧体制下でエリートだった男が、妻と愛人との三角関係に引きずられるドロドロの物語です。医師で詩人の主人公ジバゴは何不自由ない生活を送っていました。ある日、仕立屋の娘ラーラを見て心を奪われるも、婚約者と結婚。内戦が激化すると、家族と共にモスクワから田舎へ移り住みますが、そこで革命側の幹部の妻となっていたラーラと再会します。善(よ)し悪(あ)しではなく、男と女が革命と共に流れていくんです。
僕が生まれて初めて見た映画です。小学3年生のころ、母に連れられて埼玉県熊谷市にあった「銀映」という映画館で見ました。湿気とたばこの臭いがしていたのが、すごい思い出ですね。映画の冒頭で、スクリーンに「序曲」という字幕が映し出されるんです。そこで流れる「ラーラのテーマ」が劇中で何度も流れるので、まるでクラシック音楽のコンサート会場に来ているようでした。
内容はわかっていなかったですよ。でも映像に圧倒されて、3時間半の長さでも全く飽きなかったですね。強烈なのは画(え)です。貨物列車で大勢の人が物資不足のモスクワから逃げるシーンがあって、人で満杯の列車の中でストーブをたいて、脇でトイレを使ったりするんです。もう汚さや臭いが全部伝わるようで、生々しいですよね。
絵は当時見た時の印象をクレヨンで描きました。青い空や、機関車と血の色の煙、平らなロシアの大地。全部が混じったイメージです。
聞き手・吉田愛
監督=デビッド・リーン
製作=英・米
出演=オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティほか 1956年生まれ。絵本作家としても活動する。FMラジオ局NACK5の「キリン一番搾り One More Pint!」にメインパーソナリティーとして出演中。
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