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山手樹一郎原作の時代劇です。私がこの映画に出演したのは54年前。22歳だった当時は歌手か、女優になろうかまだ迷っていた時でした。脇役が多く、出番を待つ時間が長くてつらかったですね。
市川雷蔵さんが、津山藩の若殿亀之助と、双子の弟で浪人の長谷部平馬を一人二役で演じました。二枚目なのにふざけた男の一面もある平馬は、旅の途中、瑳峨三智子さん演じる福姫と出会い、意気投合。でも、重病の亀之助の替え玉として、福姫と見合いをさせられます。私が演じたのは、亀之助と恋仲だった腰元の桔梗(ききょう)。お家騒動を画策する一派から脅かされ、嫉妬心もあって福姫をわなに掛けるというちょっぴり悪役だったんです。
亀之助に扮した平馬が福姫と宿屋に泊まっていた場面。福姫は素っ気ない平馬にすねてしまいます。その宿屋の前で、私が映画の主題歌「いいからいいから」を流しで歌うんです。三味線を弾きながら。すると歌を聴いた平馬が「いい歌だな。もう1曲歌ってくれ」と2階の窓から銭を私に落としてくれるんですよね。大スター雷蔵さんとの共演は緊張しましたよ。絵は、その場面をイメージして私と雷蔵さんを描きました。
そしてこの映画が公開された1962年のNHK紅白歌合戦に「おひまなら来てね」で初出場し、私の歌手人生にとってはターニングポイントになりました。
時代劇なので、チャンバラもあります。軽快なタッチで肩ひじ張らずに見られると思いますよ。
聞き手・石井広子
監督=森一生
脚本=笠原良三
出演=市川雷蔵、瑳峨三智子、二代目中村鴈治郎、真城千都世、五月みどりほか さつき・みどり |
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たくさんのご応募ありがとうございました。 |