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アメリカでイタリア料理店を経営しているイタリア移民の兄弟、プリモとセコンド。なかなか繁盛しないお店で、一発逆転を狙って2人が奮闘する物語です。
兄のプリモが、本場の味に誇りを持っていて、妥協しないんですよね。弟のセコンドに「アメリカ人が好むメニューを作ろう」と言われても耳を貸さない。僕も人に言わせると頑固な所があるみたいです。でもきっと、物を作ってる人って多かれ少なかれみんなそう。自分なりに試行錯誤しながら、求められているものと、自分の納得いくものの間で揺れ動いているのだと思う。
プリモが作る料理は、どれもすごくおいしそう。豪華っていうわけでもないんだけど、才気にあふれていて。パスタとソースが詰まったティンパーノ(イラスト中央)、食べてみたいなぁなんて思いながら、絵を描きました。
喧嘩(けんか)ばかりの兄弟だけど、最後、セコンドが金持ちの同業者パスカルに向かって、「お前に兄の才能が分かるか」と怒鳴る場面がすごくいい。同じような熱量で考えてくれる相手がそばにいるって、幸せなこと。苦労は絶えないけれど、時にはぶつかり合いながらも、2人は道を模索していくんじゃないかな。続けていけば、物事は少しずつよくなるはず。
初めて見たのは20年前。仕事がうまくいかない時期に、気晴らしにとレンタルしたんです。サクセスストーリーではないけれど、不思議と前向きな気持ちになれた映画です。
聞き手・中村茉莉花
監督=スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコット
製作=米
出演=スタンリー・トゥッチ、トニー・シャルーブほか すずき・まさる
1968年生まれ。テキスタイルブランドOTTAIPNU主宰。作品集「鈴木マサルのテキスタイル」(誠文堂新光社)を販売中。 |