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難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を患い、死期が間近に迫る車イスのモリー教授が、かつての教え子で売れっ子ライターのミッチに命がけで「今を生きること」を授業する物語です。
僕にもモリー教授がいる。小学校の恩師の小池先生です。15年前、数十年ぶりに偶然会った時、先生は体調を崩していて車イス姿で、モリー教授とミッチが再会した場面を思い出しました。
小学生のころ、小池先生が僕のことを通信簿に「幸福感あふれる少年」と書いてくれて、その言葉が今でも生きる支えになっています。映画のミッチは仕事優先の多忙な毎日を送る。一見、順調に見えるけど、心に何か不安を抱き、生きる意義を探している。今も幸福感にあふれている毎日を、僕は過ごしているだろうかという内省につながりました。
モリー教授が大学の構内でミッチに車イスを押してもらいながら、「本を捨てろ、試験が何だ」と叫ぶ場面がある。木々が芽吹いて、春のこんないい季節を本の中に埋もれて過ごすのはもったいないと言っている。共感しました。逆に勉強をするなら「おもしろい」「楽しい」「やりたい」などと気持ちが動かなければと、僕は常に学生に話しています。
モリー先生の部屋からは、新芽、若葉、紅葉、葉をすべて落とした裸木と、季節ごとに姿を変えていくカエデの木が見えるんです。それは何だか人生のようだと思い、カエデの葉を絵の中に描き入れました。
聞き手・佐藤直子
監督=ミック・ジャクソン
原作=ミッチ・アルボム
製作=米 出演=ジャック・レモン、ハンク・アザリアほか ありが・しのぶ
板を彫り彩色する板絵を創作。絵本「こんなこいるかな」全12巻が2015年に30年ぶりに新装出版。江戸川大、相模女子大客員教授。 |