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「活動屋」の魂を描いたつかこうへいさんの戯曲を映画化した作品です。
私は学生時代、劇団「つかこうへい事務所」の追っかけで、看板役者だった風間杜夫さんの大ファンでした。ある時、新宿の紀伊国屋ホールでつかさんに会うことができ、「誰のファン? 風間? 次回の公演に出るから楽しみにしていろよ!」と、豪快におっしゃっていたのが、この「蒲田行進曲」だったのです。
物語の舞台は、時代劇「新選組」の撮影所。斬られ役専門の大部屋俳優ヤスは、憧れのスター銀ちゃんに妊娠した小夏を押し付けられますが、銀ちゃんのために、危険な「池田屋階段落ち」を買ってでます。
登場人物はみんな演劇的なキャラクターです。とくに、風間さん演じる激情家で甘えん坊の銀ちゃんは、つかさん自身なのだと思います。二人芝居などの演劇的な演出が多い一方、「階段落ち」の場面では、傷だらけのヤス、手を伸ばす銀ちゃん、駆けつけた小夏のアップのカット撮りがとても映画的でした。舞台と映画のいいところが何重にも重なっている作品です。
意外なラストを暗示する冒頭の松坂慶子さんのナレーションが心に残ります。「偽りの愛さえも本物の愛にすり替えてしまうこの世界では、昼を夜にすることなど朝飯前の出来事なのでした」。泣いて笑って、うそなのか本当なのか。もの作りの人々のプライドを鮮やかに描いた名作です。
聞き手・曽根牧子
監督=深作欣二
脚本・原作=つかこうへい
出演=松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳、原田大二郎ほか TVウォッチャーとしても活躍。「週刊朝日」でイラストコラム「てれてれテレビ」、「週刊ザテレビジョン」で「すちゃらかTV!」を連載中。
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カトリーヌあやこさん直筆の漫画色紙プレゼント!
カトリーヌあやこさんが「私の描くグッとムービー」で語った映画「蒲田行進曲」をモチーフに描いたサイン入りの漫画色紙を2人にプレゼント。
たくさんのご応募ありがとうございました。 |