レンタルDVDで見て気に入り、DVDを購入した一本です。
1960年代初頭の米テキサス州。14歳の孤独な少年ウォルターは、夏休みに2人の大伯父、ハブとガースの元に預けられます。莫大(ばくだい)な財産を持っているらしい2人は、財産目当てのセールスマンをライフルで威嚇したり、ハンティングするためにライオンを買ったり。自由奔放で魅力的なんです。そんな2人と過ごすうち、ウォルターは変わっていきます。きっかけは屋根裏部屋で見つけた美しい女性の古写真。ガースが語り始めた若かりし頃の愛と冒険の回顧談に魅せられ、自由な生き方に目覚めていくんです。
心に残っているのは、回顧談の真偽を問うウォルターに「人には真実かどうかは別として、信じるべきことがある」と言うハブの台詞(せりふ)。自分が生きていくうえで何を信じるのか。愛や勇気、高潔さこそ大事なものなんだと。
僕も自由に生きてきました。絵描きになるって決めたのは中学2年のとき。絵を教わる必要はないと思っていたので、働きながら描こうと、高卒で就職したんです。その後、職をいくつか変え、絵一本になったのは40代になってから。自由な生き方のつらさも経験しましたが、絵への感性を信じてやってきましたね。
イラストの中に書いた「SECONDHAND LIONS」は原題です。セコハン(中古)の切なさと強さを併せ持つ2人のことを表してもいる。いい題名ですね。
聞き手・牧野祥
監督=ティム・マッキャンリーズ
出演=マイケル・ケイン、ロバート・デュバル、ハーレイ・ジョエル・オスメントほか
たにかわ・こういち
1938年生まれ。美術評論家、絵本作家としても活動。近著にエッセー「雑めく心」(せりか書房)など。 |