これが本当のアメリカなのかもしれない。初めて見た時にそう思いました。
時代は南北戦争の頃、北軍の中尉ジョン・ダンバーは戦いの中で、負傷しながらも部隊を勝利に導きます。英雄となったダンバーは、自身の勤務地を選べる権利を得るのですが、そこで選んだのは、西部のフロンティア、サウスダコタ州のセッジウィック砦(とりで)でした。
馬車で任地へ向かうシーンの景色は、壮大でとても印象に残っています。当時の僕は、アメリカといえばニューヨークやロサンゼルスなど、大都会のイメージを持っていたのですが、ここに映るアメリカは、どこまでも続く大平原。圧倒されましたね。
ダンバーはセッジウィック砦で、アメリカ先住民のスー族と出会います。彼らは強く美しく、格好良い民族に描かれ、それが今までの西部劇とは大きく違った点でした。映画の中でスー族が、彼らの言語の一つであるラコタ語を話していたことも、あの頃の映画では珍しかったです。また、動物が登場するシーンも印象的です。映画の題名にもなったオオカミをはじめ、バファロー、馬の描かれ方には愛情があり、思わず感情移入します。
僕はこの映画を見た半年後、実際に映画のロケ地まで足を運びました。どうしても、あの景色が見たかったのです。ケビン・コスナーのファンに囲まれての旅行ツアーでしたが、そこで気の合う友人もできました。こんな出会いも、映画のおかげです。
聞き手・町田あさ美
監督=ケビン・コスナー
原作・脚本=マイケル・ブレイク
製作=米 出演=ケビン・コスナー、メアリー・マクドネルほか たかまつ・けいじ
1958年生まれ。著書に映画衣装を解説した「シネマ・クローゼット」。2008年、パリでペーパークラフトの個展。 |