イタリア・トスカーナ州の田舎に暮らす養蜂家の家族のお話です。ジェルソミーナは、4人姉妹の長女。気難しい父親と優しい母親、同居人と暮らし、一家は昔ながらの方法で蜂蜜を作っています。私の実家は車の整備工場で、4人きょうだい。家の手伝いをするのは当たり前でした。勉強も役に立つけど、家の手伝いは生きるためにとても大切。そんな環境が似ていて、この映画にひかれました。
ある夏、静かなその土地でテレビ番組が主催する家族コンテストが開催されることになり、一家は参加することにします。一方、罪を犯したドイツ人の少年を更生施設から預かることに。それまで閉鎖的だった家族の暮らしの中に、新たな世界が入り込んできます。
子どもたちの自然な表情やしぐさ、きらきら光る大きな湖、雨がざあっと降ってくるシーンなど、何げないことの連続だけど全てが美しい。いい映画ってきっと心に「何か」が残ると思うんです。
描いたのはジェルソミーナ。思春期の彼女が抱く「自分って何なんだろう」という思いや、家族との距離感など、もうすぐ彼女と同じ年頃になる自分の娘にも重ねる部分がありました。私は今まで未婚で一人娘を育ててきたのですが、3年前、結婚して2人目の子どもを出産しました。私と夫と2人の子ども、それぞれの世界をもった4人が一緒に生きている。それが今すごく楽しくて。私たちはこの家族とどこか似ているのかもしれません。
聞き手・秦れんな
監督・脚本=アリーチェ・ロルバケル
製作=伊・スイス・独
出演=マリア・アレクサンドラ・ルングほか
1981年生まれ。自らデザインした一点物の日傘を扱う「Coci la elle」(コシラエル)を経営。東京の本店に続き、2017年12月、神戸店がオープン。
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