大学4年の夏休み、ソーセージを焼いて部屋に引きこもり、マフィア映画を見るのがマイブームだったんです。
映画は実在した米国のギャング、ヘンリー・ヒルがモデルになっています。子どもの頃からマフィアに憧れて、仲間に入り、様々な犯罪に手を染めていく。そして、だんだんと立場が悪くなると、ある決断をすることに……。そんな自身の人生を語ることで話が進んでいきます。
終盤になると、主人公は薬物中毒になっていきます。上空を飛ぶヘリコプターに追われていると慌てだし、奥さんも薬物で精神を消耗しているので、2人で隠れながら取引に向かう。自分はいつもこのあたりから見るのをやめたり、飛ばしたりするんです。でも最近、見返してみたら結構面白いなと感じました。昔は分からなかったのですが、夫婦とか、2人でいる人たちの、ダメ同士だけど一緒にいるみたいな感じが、すごく可愛いなって思えてきたんです。
最後は開き直っていて、格好悪いところが良かったです。他のマフィア映画は派手に人を殺して、格好つけて死んで終わり、というのが多いのですが、この映画の主人公は、意地汚く生きることに執着してしまう。それが好きなんです。これから楽しみもなく、きっとゾンビみたいに暮らしていくんだろうなと思うと笑えるし、ちょっと温かい感じもする。あきれちゃうほど「爽やか」で、すごく楽になるような終わり方だと思います。
聞き手・町田あさ美
監督=マーティン・スコセッシ
原作=ニコラス・ピレッジ
製作=米
出演=ロバート・デ・ニーロ、レイ・リオッタほか
みやざき・なつじけい
代表作に「変身のニュース」「ホーリータウン」など。最新刊「アダムとイブの楽園追放されたけど…」第1巻が発売中。 |