初めて渡米してニューヨークに3週間滞在したとき、セントラルパークで何の気なしに描いた絵が売れて、今の仕事につながっていきました。転機となったこの滞在時に映画のDVDを見たんです。それ以降も節目節目に見返す思い出深い作品なんです。
自動車整備工のカーターと、実業家のエドワードは、ガンになって入院した病室で出会います。はじめはそりが合わなかった2人ですが、互いにつらい治療を受けていくなかで徐々に打ち解けていく。そんななか、それぞれが余命半年だと告げられるとカーターは、「荘厳な景色を見る」「涙がでるほど笑う」といった、死ぬまでにやりたいことを紙に書き出します。それが原題の「THE BUCKET LIST」です。その「棺おけリスト」を見たエドワードは「ライオン狩りに行く」などの項目を付け加えたうえ、カーターを誘ってそれらをかなえる旅に出るんです。
絵には2人がレース場でマスタングを乗り回したシーンを中心に、旅で育んだ絆や、2人が過ごした楽しい時間を表現。劇中、カーターがエドワードに尋ねた二つの質問「人生に喜びを見つけたか」「他者に喜びを与えたか」も文字で盛り込みました。映画を見返すたび、私にも聞かれているように思うんです。私自身が楽しい気持ちで絵を描けば、その絵を見た人がハッピーになる。そう信じて作品づくりをしていますって、今ならそう答えますね。
聞き手・尾島武子
監督=ロブ・ライナー
製作=米
出演=ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンほか チョコムー
ポップなイラストをモノトーンで描く。国内外のアートショーに参加するほか、アパレルブランドなどとコラボレーションした作品も。 |