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私の描くグッとムービー

くさか里樹さん(漫画家)
「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(2010年)

古臭いけど痛快なアクション

  • くさか里樹さん(漫画家)「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(2010年)

 映画って、カット割りや台詞(せりふ)が漫画に似てるんです。ジャンルを問わず1日1本見ています。この映画は友人に薦められて見ました。

 1980年代に放送されたアメリカのテレビシリーズの映画版です。特殊部隊のメンバー4人で結成された「Aチーム」が、何者かの陰謀によって無実の罪で逮捕されます。でもリーダーのハンニバルが脱獄してメンバーと合流し、無罪の証明と自分たちを陥れた黒幕に迫っていきます。

 懐かしさと痛快さが良いんです。逮捕されてから、もう暴力はやめたいとメンバーが葛藤する場面で「お前は何を信じて戦う?」と言うハンニバルの決め台詞。ものすごくクサい。でも恥ずかしげもなく言い切る。そういうところから古さが臭ってきます。敵と戦うアイデアもすごいんですよ。敵のトレーラーを襲撃する場面では、マンホールの中から強力な磁石で車の下にくっついて忍び込む。そう都合良くいかないのに、軽々とやってしまうんです。今は単純に痛快な映画は少ないと思うので、そういう軽さも懐かしいですね。

 プロフェッショナルなシーンにもグッときます。乗っていた飛行機が米陸軍に撃墜され、機内の戦車に乗って脱出する場面では、湖に着水しようと細かく角度を指示して砲弾を放ち、その反動で戦車を軌道修正していきます。もう職人の域。

 戦車が湖に落ちたとき、それを見ていたおばあちゃんが、にやっと笑うんです。想像をはるかに超えることが起こったら、人間って笑うしかないですよね。映画全体の桁外れな感じが、そのシーンに象徴されています。

聞き手・渋谷唯子

 

  監督・共同脚本=ジョー・カーナハン
  製作=米
  出演=リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、
     ジェシカ・ビールほか
くさか・りき
 「週刊朝日」で「ヘルプマン!! 取材記」、ウェブコミック誌「ジヘン」で「レオの柩」、同「トム」で「すぐ死ぬんだから」を連載中。

(2019年4月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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