当時のアクション映画にはめずらしく、普通のおじさんの主人公が体を張って悪と闘います。アニメの制作現場でがむしゃらに働いた20代が過ぎ、30代の始めのころに見て背中を押されました。この先もまだ頑張れる、と。
舞台は武装テロリスト集団に占拠された高層ビル。偶然居合わせたニューヨーク市警のジョン・マクレーン刑事は、不運な状況に文句を言いながらも、約30人の人質を救うためにたった1人で敵を倒していきます。
主人公が超人ではなく普通なところがいい。満身創痍になり、ガラスで血まみれの裸足とランニングシャツ姿で闘う羽目になっている。マクレーン刑事は、僕が影響を受けた宮崎駿さんのアニメ作品「未来少年コナン」の主人公が少し大人になったようなイメージです。派手なアクションがあって、コナンもランニングシャツと裸足だから。もう一人、僕が新人のころ、高畑勲さんが同じ格好で机に向かって制作に没頭していた後ろ姿を思い出しました。
登場人物は大柄な敵やユーモラスな丸顔の黒人警察官など、キャラが立っていてわかりやすい。アニメにしやすそうだなと思って見ていました。悪役ハンスは非情な男だけど、紳士的なスーツ姿でかっこいいんです。粗暴じゃない悪役は、僕の作風も影響を受けています。
何度やられても立ち上がるマクレーン刑事の不屈の姿は、それこそアニメのよう。元気をもらいましたね。本作のような派手なアクションをアニメでも作ってみたいです。
聞き手・星亜里紗
監督=ジョン・マクティアナン
製作=米
出演=ブルース・ウィリス、ボニー・ベデリア、アラン・リックマンほか さとう・よしはる
1958年生まれ。スタジオジブリの「となりのトトロ」、世界名作劇場「ロミオの青い空」などの作画監督を務める。 |