ギリシャ神話の最高神ゼウスと人間の姫ダナエの間に生まれた半神半人のペルセウスが主人公の冒険物語。神様の愛憎に振り回されながら、後に妻となるアンドロメダ姫にかけられた呪いを解くために怪物たちと闘う。10歳ごろ、この映画をテレビで見て衝撃を受けました。
怪物がマジで存在してたらこんな動きをするんだ、というものを、レイ・ハリーハウゼンというストップモーションアニメーションの神様みたいな人が見せてくれたからなんです。古臭いやり方かもしれないんですけど、人形をちょっとずつ動かすとまるで動いているように見えて。物に命を吹き込むっていうのはまさしくこのこと。
現実にありそうな見せ方がうまい。例えば、姫の魂が巨大なワシに連れ去られる場面のカメラワーク。物音に気付いたペルセウスがテラスに行って初めて怪物に出会う。その驚きが伝わって、こちらもわくわくする。恋敵のカリボスが醜い獣の姿に変身させられる場面も影だけで見せるんです。それが怖い。「あっ、今すごいファンタジーの世界にいるんだ」と思わせられる。
子どもの頃から、変な生き物が身近にいたらどんな風に見えるかなと想像していました。誰も見せてくれないから自分で作るしかないと思って絵を描き始めたんです。でも、自分の知っている町にそれが出てこないと、大きさとか怖さが絵から伝わってこない。絵は、郷里の福岡を舞台にした僕のペルセウスごっこを描きました。この映画との出会いが間違いなく、絵描きになるきっかけになりましたね。
(聞き手・小松麻美)
監督=デズモンド・デイビス
製作=米
出演=ハリー・ハムリン、ジュディ・バウカー、ローレンス・オリビエほか よしなが・こうたく
1979年、福岡県生まれ。代表作に絵本「給食番長」シリーズなど。博多弁での絵本の読み聞かせやライブペイントの活動も。 |