大学2年生のとき、動画配信サービスで見つけた作品です。うまく言葉では説明できないのですが、心が揺さぶられて。私の高校時代の思い出なども想起されて、気がついたら泣いていました。
進学した高校で人の輪に入れず「壁の花」のように独りでいた主人公のチャーリーが、上級生で「はみ出し者」と自認する陽気なパトリック、その義理の妹サムと出会って変わっていくんです。
これといった事件が起こるわけではありませんが、チャーリーには幼少期のトラウマがあったり、パトリックは同性の恋人のことで苦しんでいたり。登場人物それぞれが悩みを抱えながらも互いを思いやっている。その姿は人間愛そのもの。この年ごろこその感情の揺れ動き、日常や成長の過程が、今までに見たどの映画よりも丁寧に描写されていて。ただただ美しいと感じました。
いいセリフも多くて。例えば、パトリックがチャーリーを仲間に引き合わせたときにサムがかけた言葉「はみだし者の島へようこそ」。「君は独りではないよ」って、私にも救いの手を差し伸べてもらったような、そんな感覚になりました。
このセリフとともに、私が特に美しい、愛があるなと感じたシーンをイラストにしました。
私も割とはみ出し者の側にいる人間だと思います。そのせいか、弱者とかネガティブな部分をフォーカスした作品に勇気づけられてきたんです。私が描く作品の多くがパーソナルでネガティブなものをテーマにしているのは、この映画が影響しているのかもしれません。今後も心に響く作品づくりを心がけたいですね。
(聞き手・尾島武子)
監督・脚本・原作=スティーブン・チョボスキー
製作=米
出演=ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラーら出演 ちょう・ひかる
花や動物などのモチーフを、体に描いたボディーペイントで知られる。8日に写真絵本「じゃない!」(フレーベル館)を刊行。 |