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町田ヒロチカさん(イラストレーター)
「トワイライトゾーン 超次元の体験」
(1983年)

リアリティーと夢があるSF

 1959年~60年代前半にアメリカで放送されたSFテレビシリーズの映画版です。プロローグの後に「チャラリラチャラリラ」という怪しげなテーマ曲とナレーションが流れ、四つのストーリーが始まります。人種差別をする男が、差別される側になる第1話。老人ホームのお年寄りが子どもに戻ってしまう第2話。女性教師が超能力者の子どもの家に迷い込んでしまう第3話。飛行機恐怖症の男が、乗っている飛行機の窓の外にエンジンを破壊する怪物を見てパニックに陥る第4話。スピルバーグをはじめとした4人が監督していて、それぞれのストーリーに監督の色が出ています。

 僕が一番好きなのはスピルバーグが監督した第2話。黒人のおじいちゃんが「今夜、僕と缶蹴りをやらないかい?」と、老人ホームのみんなを誘います。すると、缶蹴りをしたお年寄りがみんな子どもに戻ってしまうんです。最初は楽しく遊びますが、最後におばあちゃんたちが、若返りは望まなかった、このままでいいと自分の人生を認める。一方で、子どものままでいることを選ぶおじいちゃんもいます。それぞれ自分で自分の道を選ぶんです。そこが自由で、愛にあふれている。子どもだけじゃなくて、老人にもしっかり夢を持たせてあげるところがスピルバーグらしいですね。

 少しのリアリティーと夢があるSFが好きなんです。人外の生物とコンタクトするワクワク感がありますし、想像力をかき立てられます。イラストは左上から時計回りで、僕が好きなストーリーの順に第2話、第3話、第1話、第4話のシーンを描きました。

(聞き手・渋谷唯子)

  監督=ジョン・ランディス、スティーブン・スピルバーグ、ジョーダンテ、ジョージ・ミラー
  製作=米
  出演=ビック・モローほか
まちだ・ひろちか
 1992年生まれ。グッズ制作や雑誌の挿絵などを手がける。11月20日~24日、東京・中目黒のギャラリーohhh!!!で個展を開催。
Instagram: @hirochikamachida
(2019年11月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)