1930年代、大恐慌の頃のアメリカが舞台。詐欺師のモーゼは事故で死んだ恋人の葬式で、彼女の娘のアディに出会い、アディを伯母の家まで送り届けるために2人は車で旅をします。
アディは9歳なのに大人びていて、たばこも吸うし、詐欺の手助けもする。モーゼを本当の父親かもしれないと思い、顔が似てるのではないかと積極的に言う。一方、モーゼは独り身の自由さもあって本当の親子だと認めません。欲望のままに生きている。でもどこか憎めないのは、もうけようとしても、人を傷つけようとはしないからかもしれません。演じているのは本当の親子。僕は娘がいるので特に感情移入しました。アディが一生懸命に階段を上る姿すらもグッときましたね。
旅の途中に寄った移動遊園地で、題名の由来でもある、紙でできた三日月に座って記念撮影できる場所が出てきます。アディは一緒に撮ろうと誘うけど、モーゼはショーを見たくて断ります。父親かもしれない人と写真を撮りたい気持ちが伝わってきて、子供らしさを感じられるシーン。結局アディだけで撮ったけど、いつか2人で撮れたらいいなという思いでイラストを描きました。
子供の頃から映画館に行く習慣があまりなく、映画といえばテレビ放送される王道の作品がほとんど。この作品も笑いや、ハラハラするところ、感動する場面もあり、誰もが楽しめるような作品です。映画に限らず、人を楽しませたいという気持ちを作品から感じた時は、自分もイラストで人を楽しませたいと前向きな気持ちになります。
(聞き手・伊藤めぐみ)
監督=ピーター・ボグダノビッチ
製作=米
出演=ライアン・オニール、テイタム・オニールほか ニシワキタダシ
書籍や広告のイラスト、グッズ制作などを手がける。近著に「くらべる・たのしい にたことば絵辞典」(PHP研究所)。 |