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なばたとしたかさん(イラストレーター)
「ゴーストバスターズ」(1984年)

想像力をかき立てる異世界の物語

なばたとしたかさん(イラストレーター)  「ゴーストバスターズ」(1984年)  想像力をかき立てる異世界の物語

 小学2年生の時に家族で映画館へ行って初めて見た映画。超常現象の研究をする3人の博士が大学を追い出されて「お化け退治人(ゴーストバスターズ)」の商売を始めるという喜劇です。

 しょっぱな、ニューヨークの図書館に現れたお化けの大迫力にひっくり返って大泣き。そのあとホテルで緑色のお化けが料理を食べ散らかして暴れ回るんですが、今度は「あれ? 怖いけれどなんか面白いぞ!?」という感覚を初めて味わい、夢中になりました。その「こわ面白い」感覚を忘れまいと、家に帰ってすぐお化けを絵にしようとしたけれど、うまく描けない。何とか表現したいと毎日描くようになりました。だから、今の僕の絵の原点はこの映画。家族との思い出もあるから、特に思い入れが強いんです。

 印象的なのは、冷蔵庫の中に異世界が広がっているシーン。僕も物心ついた頃からずっと、押し入れの中には異世界があると怖がっていた。その怖さをおもしろさに変換して紛らわせようと、僕の絵本に登場する不思議な生き物「コビト」のような存在を子どもの頃から考えていましたね。

 イラストの主人公は小学2年生の僕です。掃除機をお化け捕獲装置に見立てて戦っていました。兄が面白がって僕に「あそこにお化けがいたよ」って言うんです。それで、やられてたまるかと掃除機で「ウォー」ってやって。子どもには想像したものが形になって見えているんですよね。今年公開予定の続編も、娘と見に行き、あの頃の僕と重ね合わせたいです。

(聞き手・小松麻美)

 

  監督=アイバン・ライトマン
  製作=米
  出演=ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスほか
1977年石川県生まれ。代表作「こびとづかん」シリーズは現在、全8作。ほか近著に「犬闘士 イヌタウロス」(いずれもロクリン社)。
(2020年2月7日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)