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私の描くグッとムービー

オカタオカさん(イラストレーター)
「人生はビギナーズ」(2010年)

人生はいつでもまた始められる

  • オカタオカさん(イラストレーター)「人生はビギナーズ」(2010年)

 監督自身が父親との体験を基にした映画です。僕も実体験を基に作品を作ることが多いので、映画にシンパシーを感じました。僕の父親は海洋調査船の乗組員だったのですが、僕が生まれてすぐに、船が難破し亡くなってしまいました。でも、家にサーフボードやスケートボート、アルバムがたくさん残っていて、それらからいつの間にか影響を受けていました。

 主人公のオリバーは臆病な性格。彼の母親が亡くなった後、父親のハルはガンを宣告されます。ハルは、自分がゲイであるということをオリバーにカミングアウトし、新たな人生を謳歌し始めます。一方オリバーは、これまでの両親の関係や、彼らの間で生まれ育った自分の存在に悩みます。やがてハルも亡くなり、気を落とすオリバーを友達がパーティーに誘います。そこでアナという女性と知り合い、2人は引かれ合っていきます。

 でも、アナとの関係がうまくいかなくなり、オリバーはアナを突き放してしまいます。その時、飼い犬のアーサーが言った「彼女と出会う前からうまくいかないと分かってた」というせりふに、はっとしました。誰しも、オリバーのように失敗が怖くてチャレンジを恐れる気持ちはあると思うんです。僕もそう思うことはたくさんありました。

 この映画は、失敗してもいいし、何歳から始めてみたっていいということを、すごく繊細に、押しつけがましくなく描いています。「やってみないとわからない」っていう言葉自体は、使い古されてきたものだと思うんですが、この映画だと素直に受け取れるんです。

(聞き手・渋谷唯子)

 

 監督・脚本=マイク・ミルズ
  製作=米
  出演=ユアン・マクレガー、クリストファー・プラマー、メラニー・ロランほか
オカタオカ
 1986年生まれ。雑誌や書籍、広告などのイラストレーションを手がけるほか、精力的に個展を行う。著書に絵本「しんまいぐま」(若芽舎)。

(2020年5月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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