ユーチューブでこの作品の元になる短編映画を見て、思春期の両親との葛藤や閉塞感、初々しい恋愛などが描かれた内容が気に入っていて、長編映画化された際に何度も映画館へ足を運びました。
主人公のレオナルドは素直で真っすぐな性格で、盲目であっても新しい世界へ飛び込むことに物おじしない、とても魅力的な少年です。彼は通っている高校で、転校生の少年ガブリエルに出会い、恋に落ちます。ガブリエルは、過保護で新しい挑戦にも消極的な両親やいつもそばにいた親友の少女ジョバンナとは異なり、何のためらいもなく目の見えないレオを映画や月食に連れ出します。言葉で景色を伝え、その美しさや楽しさを共有し、レオが切望していた新しい世界を教えてあげた。盲目であり同性であることを超え、レオがガブリエルを好きになるのも当然に思えました。
今回描いたのは、恋人同士になった2人が自転車に乗って通りを疾走する最後のシーン。彼らなら、きっとどんな困難も共に乗り越えて一緒に生きていける。希望のある未来を感じさせて、見る度に涙がこみ上げてしまいます。この映画の中で一番好きで心に残った場面です。
私は、若者の成長過程のエネルギーに強い魅力を感じていて、創作にも大きく影響を受けています。1歳の娘がいますが、彼女が成長して本当にやりたいことに出会ったときには、この映画の主人公のようにぜひ挑戦して欲しい。私自身も両親の理解と応援に支えられて、やりたかった絵の世界に入りました。同じように彼女を支えられたらいい、と思った映画です。
(聞き手・高田 倫子)
監督・脚本=ダニエル・ヒベイロ
製作=ブラジル
出演=ジュレルメ・ロボ、ファビオ・アウディ、テス・アモリンほか みなはむ
1995年、東京都生まれ。自然を背景に少年少女をモチーフとした作品を手掛ける。代表作に「美しいからだよ」(水沢なお著)の装画など。 |