「アイアンマン」シリーズのジョン・ファブローが監督と脚本、製作、主演を務めているということで、興味を持ちました。
ファブローは、ロサンゼルスにある有名レストランの総料理長カールを演じます。創造的な料理を作りたいカールは、定番メニューに固執するオーナーと対立し、店を辞めることに。さらに、自分の料理を酷評した評論家とけんかになり、その様子がSNSで拡散されてしまい、料理人として窮地に立ちます。心配する元妻と訪れたマイアミで、キューバサンドイッチのおいしさに感動して心機一転。息子や元同僚とフードトラックでキューバサンドイッチの移動販売を始めます。
ただ自分の作りたいものを追求しているだけで、周りから好き勝手言われてしまったカールに、自分の姿が重なりました。2019年末からツイッターで漫画「100日後に死ぬワニ」の投稿を始め、たくさんの人に読んでもらいました。しかし、書籍化や映画化などが発表されると、「大手広告会社が仕組んでいたのでは」といううわさがSNSで広がり、批判を浴びました。
世間から批判されても、カールは料理を諦めません。SNSを通じてキューバサンドイッチの評判が広がり、いつしかトラックの前には大行列が出来るまでに。SNSは人を傷つけることもありますが、勇気づけることもあります。作品づくりをしていると、つらい時も訪れます。でも、目標を持って続けていけば、「つらいことも必要だったな」と思える日が来るはず。そんなことを学んだ映画です。
(聞き手・永井美帆)
監督・脚本・主演=ジョン・ファブロー
製作=米
出演=ソフィア・ベルガラ、ジョン・レグイザモ、スカーレット・ヨハンソンほか きくち・ゆうき
1986年東京都生まれ。「100日後に死ぬワニ」を原作としたアニメーション映画「100日間生きたワニ」が5月28日公開予定。 |