実はこの映画を見たのはつい最近。理由は単純で、7月か8月くらいの暑かった時期に涼しくなれるような映画を探していて。旦那(漫画家の桜壱バーゲンさん)の薦めがきっかけです。
氷河期になった世界で、スノーピアサーという列車に乗りこんだ人たちだけが生存しているというお話。列車版ノアの箱舟って感じですね。列車内は先頭車両に乗る上流階級が支配する格差社会で、最後尾では人々が虫けら以下の生活を強いられている。そこで主人公率いる最後尾の人々がこの状況を打破するために革命を起こします。
私は集中力がすぐ切れてしまうんですが、この映画は違いました。列車っていう密閉空間でアクションシーンがバンバン変わるのがすごく面白い。個性的なキャラクターが大勢いて、人間模様にも引き込まれました。好きなのは、イラストにも描いたヨナですね。彼女は列車で生まれたんですが、彼女がこれからどうなっていくんだろうってわくわくします。
この映画には究極の選択を迫られる場面が結構あって。私は以前、看護師をしていたんですが、看護師を続けて地元の富山に戻るのか、東京に出て漫画家になるのかで「どうしよ~」って、めちゃくちゃ悩んだことがあったんです。だからなんとなく自分の人生と重なってビビビってきた。
映画って、キャラクターのバックボーンや内面が見ただけでわかるのがすごい。スノーピアサーのような面白い作品に出会うと「ここにいるキャラクターを自分の漫画にも出したいな」と思うことがありますね。
(聞き手・宮嶋麻里子)
監督=ポン・ジュノ
製作=韓、米、仏
出演=クリス・エバンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、ジョン・ハートほか おきた・ばっか
代表作に「透明なゆりかご」など。週刊ビッグコミックスピリッツで「お別れホスピタル」を連載中(最新刊7巻は11月30日発売)。 |