監督が日本人でイタリア製作、舞台はフィリピンのマニラ、なかなかないじゃないですか。
家族のいないストリートチルドレンの女の子、ブランカが主人公。スリや物乞いで生計を立てていましたが、お母さんをお金で買おうと思いつくんです。その資金を集めているうちに、目の見えないギター弾きのおじいさん、ピーターに出会って、歌でお金を稼ぐことを教わります。
映画では、環境とか生まれとか、不可抗力的なものの中でどう人生を切り開いていくかに焦点が当たっているように感じました。日常でも、不可抗力的なものってありますよね、上司の機嫌が悪いとかもある意味そうですし。こういうご時世なので色んなことが外的な要因でできない人もいると思うんですけど、その中で何を見つけて、何を大事にすべきなのかみたいなことが、この映画ではすごく見えやすかったのかな。環境の要素は大きいですけど、どんな状況でも自分次第で流されずに済むし、変わっていける。結局最後に立て直せるのは自分だけですから。でも、その時に支えてくれる人に恵まれていればもっといいんだろうなとは思います。
私にとってピーターと重なる存在は祖父、おじいです。私にだけ甘々でした。一緒にいて楽しかったんですよ。その辺の枝で鳥かごを作り出すような手先の器用な人で、野球を見てずっと応援してた方のチームが敵チームだったとか、おかしな部分もあって。だからちっちゃいブランカとピーターの関わりを見ていてなんか気持ちがわかるような気がしたのかも。
(聞き手・伊東哉子)
監督・脚本=長谷井宏紀
製作=伊
出演=サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリほか ヒコロヒー
1989年、愛媛県生まれ。初エッセー「きれはし」(Pヴァイン)、自身のベストネタをまとめた初DVD「best bout of hiccorohee」が発売中。 |