インドの大地主に仕える召使ムトゥと、旅一座の女優ランガとの恋を軸にした、歌とダンスが見どころの映画です。
初めて見たのは小学生の頃。踊っているシーンがほとんどで、ストーリーもよく分からないうえに2時間46分もあって長い。それなのに、ものすごくひきつけられて、作品の舞台であるインドに憧れを抱きました。その後も、インド映画を色々と見ましたが、本作ほど印象に残る作品には、いまだに出会えていません。
とにかく見た人に楽しんでほしい、というサービス精神で埋め尽くされた映画です。とくにダンスシーンは、主役の2人と、そんなに必要?と思うくらい大勢のバックダンサーが、香辛料のような強い香りを放っていて、中毒性が高く魅力的です。大地主の婚約者である女性の「しゃっくり」音をビートにして、屋敷中の人が踊る盛大なダンスシーンも見どころです。その婚約者の父親は典型的な悪役で、ボンネットに大きなツノをつけた車に神妙な面持ちで乗り込むシーンは、思わず笑ってしまいます。細部まで丁寧に作り込まれていて見どころが多く、それぞれが見つけた面白いポイントを教え合って笑うのも、楽しみ方の一つだと思っています。
イラストの中央には、序盤、こちらに駆け寄ってくるムトゥの「ドヤ顔」を描きました。作品内で何度も登場するダジャレをイメージした「マッテーナ」や、しゃっくり「ヒャッ!」を、周囲のイラストに溶け込むよう、ヒンディー語風のカタカナで表現してみました。
(聞き手・高田倫子)
監督・脚本・セリフ=K・S・ラビクマール
音楽=A・R・ラフマーン
製作=インド 出演=ラジニカーント、ミーナほか ほさか・まり
1988年、神奈川県生まれ。「うんこドリル」(文響社)、「松丸亮吾のうんこナゾトキ」(同)シリーズほかのイラストを担当。 |