1912年に実際に起きた、豪華客船タイタニック号の沈没の様子を描いた映画です。本作の監督であるジェームズ・キャメロンの映画が好きだったこともあり、25年前の公開当時、映画館で見たのを覚えています。
イラストには、船が沈むことに気づいた設計士の姿を見て、号泣している私を描きました。
この船は、当時のテクノロジーの粋を集めて造られたもので、沈まない完璧な船だと思われていました。それなのに、まさか最初の航海で氷山にぶつかり、あっという間に浸水して沈んでしまうとは。船を設計した設計士は、当然ながら誰よりも船の構造に詳しいので、真っ先に沈没は免れないことに気づきます。しかも、大勢の人たちを巻き込んで沈んでいくのですから、責任重大です。その絶望感たるや。自分が完璧ではなかったことを思い知らされる瞬間でもあり、同じエンジニアとして、全エネルギーを込めて作った分身が無くなるというのは、とてもつらいだろうと想像して、号泣しました。反対に、多くの視聴者が共感したであろう本作の主人公、ジャックとローズのラブストーリーの部分は、私にはチープに感じられて、心を動かされませんでした。
本作は、大変高額な制作費をかけて作られているので、海に沈んだ本物のタイタニック号を撮影していたり、実際の船の一部と同じ大きさの模型を造って撮影していたりと、見どころが多い映画です。また、当時としては大変めずらしく、群衆の一部をCGで描いている部分にも、ぜひ注目してみて下さい。
(聞き手・高田倫子)
監督・脚本・編集=ジェームズ・キャメロン
製作=米
出演=レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレットほか めいわでんき
土佐信道プロデュースの芸術ユニット。来年デビュー30周年を迎える。5月3日から22日まで茨城県つくば美術館で個展を開催。 |