愛と豊かな人生、というのがこの映画のテーマだと思います。21歳の主人公ティムは自分にタイムトラベル能力があることを知ります。そこだけ聞くとファンタジー映画のように思えるのですが、タイムトラベルはきっかけのひとつにすぎず、自分の人生をどう豊かにするのかを考え、日々の時間そのものの素晴らしさや身近にある幸せに気づかされる、そんな映画です。イラストは、日常の幸せ、まさにその瞬間です。
2時間で、ティムの人生が描かれます。タイムトラベルの最初の使い方は彼女を作るためだったのですが、その後は、夫婦愛や兄妹愛、親子愛が描かれていて、とても密度が濃い。特に、タイムトラベルを通して大切なことを教えてくれた父親との絆は、涙なしでは語れません。
私は恋愛物のイラストや短編小説を作るのですが、当たり前の日常の中にあるたくさんの幸せ、というメッセージを込めて創作しています。SNSでファンとやりとりをしていると、「私なんて……」と、人と比べてしまう人が多い気がします。そうじゃなくていい。あなたのことを好きだと言ってくれる人がいる、好きだと思える人がいる。そういう気持ちを知るだけでも、すごく幸せなことです。映画にも込められているように、目の前にある幸せに気づける人が、人生を豊かにできる人だと思います。
最近幸せを感じた瞬間……。そうですね。よく眠れて、夫がおいしい朝ごはんを作ってくれて、子どもが元気に学校に行ってくれた。今日もいっぱいありました。本当に。
(聞き手・田中沙織)
監督・脚本=リチャード・カーティス
製作=英
出演=ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイほか ひらいずみ・はるな
愛と美と官能をテーマに、カップルイラストや短編小説を創作。著者デビュー作「愛のかたちをまだ知らない」(KADOKAWA)。 |