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シェリーリリーさん(イラストレーター・漫画家)
「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」(2011年)

官能的に輝く 老舗キャバレーの裏側

シェリーリリーさん(イラストレーター・漫画家)<br>「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」(2011年)

 パリにある老舗キャバレー「クレイジーホース」が舞台のドキュメンタリーです。ヌードショーの様子はもちろん、その裏側を見ることができて面白いです。よく、「エロさではなく芸術作品として素晴らしい」と評価される舞台なのですが、その通りだと思います。衣装や照明に至るまで、全ての人がものすごい熱量でひとつのステージに携わる。ダンサーたちにとっても、クレイジーホースの舞台に立つということは、憧れやステータスのひとつなんだと思います。

 ダンサーたちの美しいボディーラインも魅力ですよね。オーディションの場面では、審査員がお尻の美しさなど、プロフェッショナルに注視する様子も映されます。厳しく選抜された人たちが集まるからこそ、一体感のあるステージが完成します。女性の美しさや優雅で官能的なクレイジーホースの世界観は、憧れそのものです。

 私はもともと、バーレスクで活躍するダンサーのディタ・フォン・ティースやきらびやかなショーが好きでした。普段「妄想世界」をテーマにイラストを描いていますが、世界観や配色では、自分が見てきた「好きなもの」が表れていると思います。

 4年前、実際にパリにショーを見にいきました。シックでクールな雰囲気の外装で、ほの暗い室内には、赤色のライトが輝いていました。映画のサブタイトルに「夜の宝石たち」とありますが、イラストでは夜空でキラキラと輝く星のように、暗闇の中でダンサーたちの体が浮かび上がる様子を表現しました。

(聞き手・田中沙織)

 

 監督・編集=フレデリック・ワイズマン
   撮影=ジョン・デイビー
   製作=米・仏
シェリーリリー 長崎県出身。
 恋人たちのロマンチックな日々を描いた「妄想日記」をSNSで更新中。著作に「星降る夜のロマンチック妄想録」(河出書房新社)。

シェリーリリーさん 公式サイト

https://sherryliliy.blog.jp/

(2023年3月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)