だいたい10年おきに今まで4回見ています。私も、プチ“テルマ&ルイーズ”できる、というかちょっとご機嫌になれるんです。
初めて見たのは劇場公開の1991年冬。大学生でした。専業主婦のテルマと、ウェートレスのルイーズ。親友2人のおしゃれなドライブ旅行が、オープンカーのスピードと巧みなテンポに乗せて、果てなき逃亡劇に変わっていく。クライマックスは「西部警察」か!ってツッコミたくなるし、最後は大泣き。SF映画「ブレードランナー」で話題になっていたリドリー・スコットがこんなロードムービーも撮るんだなあって感じでしたね。
2回目は2000年。今ほどパワハラ、セクハラが問題視されていなかったので、“からかい”を受け流すのもうまくなっていたような時期で。自分を解放していくテルマたちを眺めるうちに、訳知らず「ばかやろう!」って気持ちが込み上げていたんです。これまで、心の小箱に頑丈にフタをしていたんでしょうね。
3回目は15年。気が付けばテルマたちの年齢を追い越していました。今年4回目で、これはフェミニズムに閉ざされた映画じゃないんだと感じました。ご近所トラブルとか職場の人間関係とかちっちゃなストレス、誰しも抱えていますけど、ルールに縛られない2人みたいになれれば、もっと楽になれるだろうなって。
親友のためなら強盗もやってのける、そんなテルマに憧れてしまいます。フリフリに拳銃。瞳孔は開いて、口がひん曲がってる。狂気的なテルマの表情がこだわりです。
(聞き手・島貫柚子)
監督=リドリー・スコット
音楽=ハンス・ジマー
出演=ジーナ・デイビス、スーザン・サランドン、ハーベイ・カイテルほか
たかおか・かなえ
1969年千葉県生まれ。東京芸術大学大学院修了。11~23日(18日を除く)、東京・千駄ケ谷の佐藤美術館でグループ展「描画図鑑」を開催。 |