スパークスは、米国で1970年ごろ結成され、現在も活動しているバンドです。チョビひげを生やした作詞作曲・キーボード担当のロン=イラスト右=と、ボーカルのラッセル=同左=という兄弟2人で組んでいて、25枚以上のアルバムを発表しています。映画は、兄弟の軌跡をたどった音楽ドキュメンタリーです。
スパークスを知る人々のインタビューや写真、ところどころにイラストやアニメーションが挟まり、飽きさせないポップなつくりになっています。ロンは割と無表情で淡々とキーボードを弾いていて、ラッセルが走り回っている感じ。お互いに役割があって尊敬し合っていることが伝わってきます。ディスコやオペラなど様々なジャンルを取り入れて、次々に新しいものを作っていくんです。周りから「売れる曲を作ってくれ」と要求されても応じられず、契約を切られてしまうこともある。それは自分たちの音楽を貫いているからなんですよね。僕もクリエーティブな仕事をしているので、彼らのような気概を持ち続けたいです。
ラジオ番組で楽曲を偶然聴いてまずひかれ、劇場公開されたこの映画を見てさらにハマってしまい、SNSにスパークスがらみのイラストを投稿し始めました。本物とコラボしたいという気持ちが湧いてきて、SNSで組んだチームで、グッズ制作の企画書を送ってみると、なんと、採用! 2023年の来日公演のグッズを製作販売し、公演後に原宿で開催した展覧会にはスパークス兄弟も来てくれて、「原画を欲しい」と言ってもらえたことは一生の思い出です。
(聞き手・中山幸穂)
監督・製作=エドガー・ライト
製作国=英・米 出演=スパークス(ロン・メイル、ラッセル・メイル)ほか
いちはら・じゅん 愛知県生まれ。最近の絵本作品に「もいもい」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)「しー しずかに」(金の星社)など。グッズ、書籍、広告のイラストレーションも制作。
|