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南夏希さん(イラストレーター)
「ローマの休日」(1953年)

 公務に飽きてしまったアン王女が、お城を飛び出して新聞記者のブラッドレーと出会います。2人は好きなことをして遊び尽くし、そして恋におちます。そのままお付き合いするのかと思いきや、別れて王女としての公務に戻る。ハッピーエンドではないけれど、そこが好きです。きっと何年後かにブラッドレーと再会するのではないかと、続きを考えてワクワクできる映画ですよね。

 アン王女がわがままな女の子になっていくところが可愛い。チャーミングだけど大胆で、品もある。理想の女性像です。物語が進むにつれて、アン王女が着ている服の袖がどんどん上がっていくんですよ。最初は長袖のシャツですが、髪を切ってからは腕をまくり、七分袖くらいになって、半袖くらいになって……彼女の気持ちの解放感を表しているのかなと。今回のイラストで描いたのは、一番袖が上がっているときのアン王女です。

 彼女は自分に正直ですよね。自らの立場は分かっているけれど、それでもやりたいことがある。お城の外で過ごした1日は、彼女の「分かってはいるけれど!」という気持ちがあふれ出た1日なのだと思います。私は7年前に仕事のために上京し、最初は不安ですぐに帰ろうと思っていました。けれど来てみたら楽しい生活が待っていた。だから勇気を出して外の世界に踏み出した彼女に、見入ってしまうのかもしれません。

 最後の決断は、長年王女として過ごしてきたからこそできたのだと思います。私だったら……? 1週間は帰らず、なんとかブラッドレーと一緒にいる方法を考えるかな。

(聞き手・斉藤梨佳)

 

 
 監督=ウィリアム・ワイラー

 製作国=米    

 出演=グレゴリー・ペック、オードリー・ヘプバーンほか

 

  みなみ・なつき 1987年、奈良県出身。絵のコンセプトは「目で見るハッピー」。11月1~24日、大阪の「C’est cool Shop&Gallery」で個展を開催。 

 公式ホームページ
 https://minaminatsuki.com/#:~:text=minami%20nat

 Instagram
 https://www.instagram.com/punipuni729/

 

▼南夏希さんのロングインタビューはこちらからお読みいただけます

https://www.asahi-mullion.com/column/article/dmovie/6229

(2024年10月18日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)