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秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年)

 もうジム・キャリーが面白過ぎますよ。小学1年生の頃初めてテレビで見て衝撃を受けました
 
 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れするシーンが大好きで。銃で撃たれるのをかわしてアパートの窓から飛び降りると、道路にぺちゃんこになってしまう。「おせんべいになっちゃった」と言うセリフ(声優・山寺宏一さんの吹き替え)が最高です。
 
 このシーンを完璧にまねして、友達の家のリビングで、そのお母さんに向けて一人芝居していたんですよね。大人がケラケラ笑ってくれるのがうれしくて。シャイな性格だった僕が、何度も何度も演じていました。この映画から自分自身を解放するエネルギーをもらったんです。
 
 高校生の時、地元のスーパーで開催された漫才大会に友達と出場しました。1年目は声が小さくて散々な結果。挑戦を続けて3年目に小さな賞をもらうことができました。
 
 「人が笑ってくれたこと」に喜びを感じたからこそ、進路は3年生の3月まで悩みました。地元の美大に合格していたんですけど、大好きなお笑いを諦めきれなくて。だったら、「僕の来る場所じゃなかった」と諦めがつくまでお笑いをやってみようと決めたんです。
 
 イラストは、岡山から上京する準備をしている18歳の自分です。キャリーケースにマスクも詰めようとしています。「マスクのワンシーンを演じて大笑いしてくれた時の喜び」があったからです。
(聞き手・増田裕子)
 

  

 監督チャック・ラッセル

 製作国=米    

 出演ジム・キャリー、キャメロン・ディアスほか

 1991年生まれ。ワタナベエンターテインメント所属。2014年に岡部大菊田竜大(たつひろ)とハナコ結成。「AbemaTV presents ワタナベお笑いNo.1決定戦」2018、2019優勝。「キングオブコント2018」優勝。大人から子どもまで、幅広い層に愛されるクオリティーの高いコントに定評がある。著書に「人前に立つのは苦手だけど」(KADOKAWA)、「#秋山動物園」(朝日新聞出版)