読んでたのしい、当たってうれしい。

現在
49プレゼント

加藤諒さん(俳優)
「富江replay」(2000年)

 小学4年生の時に初めて友達と地元の映画館街「七ぶらシネマ通り」で見た作品です。ちょうどビデオやドラマなどでホラーものを好んで見ていたので、興味が湧いたんです。

 「富江replay」はもう怖くて。富江は殺されても再生する美しい女。富江を独占しようとして拒まれた武史は、怒りから富江の首を切断し森に埋めてしまいます。しかし首なしの体の切断面から薄い膜に覆われた新しい首がニョキニョキ復活するんです。乾いた映画の雰囲気が不気味さを増して、息をのむ恐ろしさでした。

 それでも、世界観にどっぷり浸れる映画館に魅了され、この作品をきっかけに毎週のように通うようになったんです。子役時代は出演作なんて恥ずかしくて見てなかったけど、中2の時に出演した「HINOKIO」は映画館で見ました。ロボットのHINOKIOが心を閉ざした少年の分身になる話で、僕は主人公のクラスメート役。CGシーンの撮影は、銀の玉をロボットに見立ててお芝居したので仕上がりが想像できなくて。だからこそ、完成した映画の中で僕とHINOKIOが自然に接する姿を見て感動しました。この経験で「大好きな映画をメインに活動したい」と強く決意したことが、今につながっています。

 イラストは「富江replay」を見た衝撃を、劇中の印象的だったもので表現しました。このところはポップな役が多かったので、7月公開のホラー映画ではシリアスな役を演じられてうれしい。「富江replay」を見ていた自分に教えてあげたいです。

(聞き手・増田裕子)

 

  

 監督=光石冨士朗

 脚本=玉城悟

 原作=伊藤潤二

 出演=山口紗弥加、宝生舞、窪塚洋介、遠藤憲一ほか

 

 かとう・りょう 1990年生まれ、静岡県出身。7月25日公開の映画「事故物件ゾク 恐い間取り」に小山拓巳役で出演。

「事故物件ゾク 恐い間取り」→https://movies.shochiku.co.jp/jikobukken-movie/

 

 

(2025年6月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます)