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かずのこさん(イラストレーター)
「ワンダー 君は太陽」(2017年)

優しい世界 自分のままで良いんだ

 

 物語の中に、そっと手を差し伸べるような静かな優しさがあふれていて、落ち込むと見ています。私は宇宙と身近なモチーフを融合したイラストを描いているので、主人公がよく宇宙飛行士のヘルメットをかぶるのも親近感が湧きます。

 遺伝子の疾患で、生まれつき顔に特徴がある少年オギーが小学5年生から初めて学校に通い始めます。外見が原因でいじめられることもありますが、登場人物たちの優しさや勇気が広がって良い方向に向かい、彼らひとり一人が抱える問題も解決していきます。

 オギーの親友ジャックは、周囲に同調してオギーの悪口を言ってしまう。私も人が困っているときに自分だけが気付いていることがありますが、やはり周りの目を気にしてあまり行動に移せない。ジャックと自分が重なりました。だから2人が仲直りした時はほっとしましたね。

 オギーは最初、学校で目立ちたくなさそうでしたが、小学生の頃の私はとにかく人と違う存在になりたかった。でも中学生になると、少数派になるのが急に怖くなり、周囲から持たれた「何でも器用にこなす人」というイメージを裏切らないように必死でした。大人になっても周りになじまないといけないと考えて苦しかった。

 そんな中で、約6年前からSNSに投稿しているイラストを徐々に評価していただけるようになって、やっと「自分の個性のままで良いんだ」と思え、本来の自分を取り戻せた気がしました。

 現実は簡単ではないから、絵の中には誰かが逃げ込めるような、優しい世界を描きたい。私にとってのこの映画のように。

(聞き手・斉藤梨佳)

 

 
 監督・共同脚本=スティーブン・チョボスキー

 原作=R・J・パラシオ    

 製作国=米国  

 出演=ジェイコブ・トレンブレイほか

 

  かずのこ 「青くて宇宙飛行士なオリジナルイラスト」をテーマにSNSで数々の作品を投稿。2023年に画集「青星」(中央公論新社)を発売。 

 インスタグラムアカウント
 https://www.instagram.com/kazunoko_kazunoco/

 

(2026年1月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます)