ナチス・ドイツの強制収容所に送られた家族の強い絆を描いた物語です。
封切りを見に東京・銀座へ行ったのが二十数年前。以来、ずっとベスト作品です。とにかく、泣かずにはいられず、上映後、友人と「落ち着いて泣ける場所に行こう」と近くのカフェに入り、2人で号泣しました。店員さんはびっくりでした。
ユダヤ系の給仕グイドは、教師のドーラと運命的な出会いで恋に落ち、可愛らしい男の子ジョズエを授かります。とても楽しい一幕です。グイドは常におどけ者。一家が強制収容所へ連れ去られても、息子が気落ちせぬよう、これはゲームなのだとウソをついて笑わせ続けます。放送室に忍び込んで、離れた場所で捕らわれている妻に「君だけを思っているよ」と伝える場面も。心が折れそうな状況を笑いに変えてしまうグイドの強さ、愛情の深さに引き込まれずにはいられません。
終盤近く、監視兵に撃ち殺される直前、グイドは近くで隠れて見ている息子にウィンクし、手足を高く上げておどけながら連行されていきます。死を覚悟しながらも、最後まで家族を笑顔にしようとする姿は神々しい。イラストの右上に描いたグイドには光をまとわせました。
米軍に救出されたジョズエが母と再会する最後の場面で、後に大人になった彼の声が流れます。「これが私の物語。父が命を捧げてくれた私への贈り物だ」。もう、胸がいっぱいでした。平和の中で生かされているありがたさをつくづく感じます。私はいつも人を幸せにする絵を描きたいと願っています。この映画を見てから、グイドのような心を持って、描いていけたらいいなと思い続けています。
(聞き手・川崎卓哉)
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監督・主演=ロベルト・ベニーニ
製作国=イタリア 出演=ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニほか
ことな これまで9冊の書籍で挿絵を担当。埼玉県熊谷市在住で市のマスコットキャラクター「ニャオざね」を描いた。県内を中心に個展を開催。
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