実は、今も昔も映画はあまり見ません。長い時間、座っているのが得意じゃないんです。でも、この映画は20代後半にビデオで見ました。たまたま読んだ雑誌の、ヒチコックの映画紹介で「ストーリーや映像に独特の怖さがある」と載っていて。子どもの頃から怖い話や怪奇現象に興味があったから、見たくなったんです。
カモメやスズメが突然人を襲う、災害のような出来事に町中がパニックになります。校庭にある遊具を埋め尽くすようにとまっていたカラスの大群が、学校から全速力で逃げる子どもたちの頭や首にかみつくシーンは恐ろしかった。なぜ襲うのか、どういうメッセージなのか分からないまま終わる不気味さが印象的。狂気をはらんだ鳥の鳴き声や映画の乾いた雰囲気が、より一層怖さを感じさせました。
「鳥」を見た頃は、大学を出て就職した設計事務所を辞めて、次の仕事につくまでの自由な時間でした。毎日夜遅くまで働く生活ではできなかったことをしようと、海外へ一人旅をしたり、友人と音楽ライブや食事へ行ったりしました。楽しかった思い出がよみがえってくる映画です。
会社員の傍ら、30代半ばから趣味で始めた切り絵で40代に独立して今年で10年目。動物や植物をモチーフにしていて、僕のシンボルが「鳥」。鳥が空を飛ぶ姿が美しくて好きなんです。
僕の切り絵の原点は、米国のグラフィックデザイナー、ポール・ランドなど1950年代ごろのグラフィックデザイン。ざっくりした切り口に、元気が出るような鮮やかな色。形の所々を角張らせて手の跡を残し、あたたかみのある作品に仕上げるようにしています。
(増田裕子)
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監督=アルフレッド・ヒチコック
製作国=米国
出演=ティッピ・ヘドレン、ロッド・テイラー、スザンヌ・プレシェットほか
ゆうや 1973年、神奈川県生まれ。Atelier FOLK代表。5月23~31日に東京・清澄白河「haus&terrasse」のギャラリーで
個展を開催。
公式サイト:http://chokkin-kirie.com/
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