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スーパーハンコアート安東さん(スーパーハンコアーティスト)
「ターミナル」(2004年)

嫉妬する「型破り」 夢はユニークに

 「ターミナル」でしか得られない「栄養」があるような気がして、年に1回は見ています。

 主人公のナボルスキーは、アメリカへ向かう途中に起きたクーデターで祖国を失ってしまいます。しばらくアメリカの空港の乗り継ぎロビーから出ることも、帰ることもできなくなりますが、その間に恋愛も仕事もし、友達もできる。空港の中で人生が巻き起こるところにワクワクしました。

 一番共感するのは国境警備局の主任ディクソン。ナボルスキーが現れたことで出世が危うくなってしまう。真面目に頑張ってきたものを何かに壊されることってあるよな人生、と思うんですよ。

 僕は親が厳しかったのもあり、細かいルールも守りたいタイプ。ナボルスキーみたいな型破りな人がうらやましい。でも、その嫉妬に似た気持ちこそが、僕が17年ほど前から始めた、ハンコで点描のように絵を描く技法「スーパーハンコアート」につながったのだと思います。僕自身が平凡だからこそ、ユニークなものを作りたかったのかな。

 このイラストは、「夢」のハンコを2千~3千回ほど押して、ナボルスキーの姿を描きました。アメリカに来たのは夢をかなえるためだと思うから。昔のテレビCMで、男性が渋谷の場所を聞き、若い女性が適当な感じで答えるものがあって、そのオマージュでもあります。悲しそうな表情が道に迷っているからだったら面白いと思ったんです。

 今までは全てをハンコで表現しようとこだわっていたけれど、文字などは手書きで入れるようにしました。ハンコだけで作品を作る面白さを超えて、その先で何を描くかが大切だと気付いたんです。これからも見ている人が笑える、僕らしい作品を作っていきたいです。

(聞き手・斉藤梨佳)

 

 
 監督=スティーブン・スピルバーグ

 製作国=米国  

 出演=トム・ハンクス、キャサリン・ゼタジョーンズ、スタンリー・トゥッチほか

 

  すーぱーはんこあーと・あんどう 1978年大分県生まれ。ハンコを多用して絵を描く独自の「スーパーハンコアート」を制作。「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)、「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(テレビ東京系)などテレビのバラエティー番組にも多数出演。 

 ホームページ
 https://andokazuyuki.jimdofree.com/

 

 インスタグラムアカウント
 https://www.instagram.com/superhankoartando/

 

(2026年9月18日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます)