読んでたのしい、当たってうれしい。

現在
60プレゼント

宮崎あぐりさん(アートディレクター)
「ロック、ストック&トゥ―・スモーキング・バレルズ」(1998年)

ロンドン下町、交錯するギャング

 宮崎あぐりさん「ロック、ストック&トゥ―・スモーキング・バレルズ」(1998年)

 

 イギリスの街や文化にひかれて、イギリス映画をよく見るんです。自分の生活とはかけ離れたところも好きで、これは10年ほど前に見ました。

 一言で表すと、ロンドンの下町で起こるギャングたちのドタバタ劇。主人公のエディら4人の若者が一獲千金を狙い、町を牛耳るハリーにカードゲームを挑みます。ところがイカサマにはまり、50万ポンドもの借金を負わされてしまう。この借金を返済するため、麻薬マフィアも絡んだ騒動へと発展していきます。

 皮肉っぽいユーモアを交えながら、テンポよく進んでいく物語と、スタイリッシュな演出。エディがゲームに負けた瞬間、めまいのように背景がぐるぐる回るなど、細かい演出にハッとします。

 昨年まで、5年半くらい日本とロンドンを行き来する生活をしていました。今改めて見ると、「コックニー」というロンドンなまりや、通っていたマーケット近くの風景が出てきて、よりリアルに感じますね。そう言えば、向こうで久しぶりにこの作品が見たくなり、ビデオ屋で店員さんに尋ねたら、「僕の一番好きな映画だ!」って。すっかり意気投合して、友だちになってしまいました。

 個性的なギャングたちによる複雑に絡み合ったストーリーが、最後はスッと一つにつながっていく。こうした仕掛けやプロットが楽しめる映画には、いつも刺激をもらっています。仕事のモチベーションを上げたい時にはつい見返してしまう作品です。

聞き手・永井美帆

 

  監督・脚本=ガイ・リッチー
   制作=英
   出演=ジェイソン・フレミング、デクスター・フレッチャーほか
みやざき・あぐり
 1981年、東京都生まれ。代表作に2006~13年、MTVジャパンで放送されていたアニメ「ウサビッチ」など。
(2014年8月22日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)