初めて見たのは、WOWOWで映画を見あさっていた中学生ぐらいの頃。花火を演じる歌手の山崎まさよしさんが、自身の曲で主題歌の「One more time, One more chance」を歌う予告を見て、雷に打たれたような衝撃を受けました。
人気バンド「ブレインズ」のボーカルだった花火は、バンドを解散してから創作意欲をなくし、山奥でキャベツを育てる日々。突然あらわれたダンサーを志すヒバナとひと夏を過ごすうちに、曲作りに向き合うようになります。
花火の役柄が山崎さんとうまく混ざっていて、花火が実際にいるとしか思えないぐらい。当時の私は花火に恋をしてしまいました。
群馬県中之条町などのロケ地にも感動しました。広大な鮮緑のキャベツ畑、曲作りのアイデアや生活感と、古びた道具が入り交じる廃校、塀の上から望む深い山々。田舎に住む私がへきえきしていた景色が輝いて見えました。
半年ぐらいは他の映画を見ることができなかったです。胸がいっぱいになって、毎日キャベツを食べて、2カ月ぐらいで約8キロもやせました(笑)。
「人の心を動かす映画に携わりたい」。この情熱が、高校の先生の反対を押し切り、日本映画学校(現日本映画大学)俳優科への進学へと私を突き動かしました。山崎さんに会ってみたいという、よこしまな気持ちもあったと思います。
漫才の授業もあり、俳優への近道だという先生の勧めで、お笑いの世界に入りました。相方の近藤さんと出会ったのもこの頃。芸人の傍ら、ドラマや映画で重要な役を演じることができました。
まちがいなく、私の人生を変えた映画です。
(増田裕子)
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監督=篠原哲雄
脚本=篠原哲雄、真柴あずき 原案=鶴間香 出演=山崎まさよし、真田麻好美ほか
えのうえ・けいこ 1984年島根県生まれ。2005年に近藤くみことお笑いコンビ「ニッチェ」を結成。「女芸人No.1決定戦 THE W 2025」で優勝。
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