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何だろうなと考えさせられる映画が印象に残りますね。二十歳の頃に見たきりですが、見直していません。当時の自分の年代、時代と映画との関わり合いみたいなものをそのまま残しておきたくて。
レベッカ役のマリアンヌ・フェイスフルがとにかく色っぽかった。当時、彼女がミック・ジャガーの恋人だったのも、レベッカのドラマチックな人生と重なりますね。レベッカは婚約者がいるのにアラン・ドロン演じるダニエルと情事を重ね、結婚後も大型バイクに乗ってフランスからドイツまで国境を越えて会いに行く。日本との文化の違いを感じました。
最初は普通の女の子って感じだけど、バイクスーツを着ることで変身する。本来の自分になるんです。純粋な自分とダニエルとの愛だけを貫いて、他のものは一切関係なくなる。レベッカが裸身にまとったバイクスーツのジッパーをダニエルが口にくわえてスーッとおろすシーンは、黒い革と白い肌のコントラストにドキドキします。何かの扉が開くようで、そこから全てが始まる感じがする。
結末は言えないけど、一番印象的ですね。見た当時は映画が途中で終わっちゃった感じがして、レベッカは本当に幸せだったのかなって思ったけど、今思うと幸せなんだと思います。
生きていると不条理なことってあるわけです。そこで自分なりに受け入れていくしかない。平穏無事もいいけど、波風がある人生も、豊かな人生なのかなって思います。
聞き手・岩本恵美
監督=ジャック・カーディフ
製作=仏
出演=アラン・ドロン、マリアンヌ・フェイスフルほか あまの・よしたか
1952年生まれ。「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラクターデザインや小説「吸血鬼(バンパイア)ハンターD」シリーズの挿絵を手がける。 |