「カムジャ」が韓国語でジャガイモで、「タン」はスープ。韓国の昔ながらの定番料理です。最初に食べたのは2005年に延世大学の語学堂に留学していた時、お世話になった映画監督さんが連れて行ってくれたソウルのお店でした。「マニモゴ(たくさん食べて)」って、取り皿にたくさんとってくれて。当時、韓国語が流暢ではなくてすごくフラストレーションを抱えていたので、韓国の人の独特の情、やさしさが心に染みました。
日本では食べられないだろうなと思っていたんですが、数年前に新宿で映画を見た後、友人とぶらぶら歩いていたら見つけたんです。お手並み拝見のノリで食べてみたら、これがおいしくて。まさに韓国で食べた味です。
お勧めは香ばしいエゴマがたっぷり入ったウゴジ。乾燥させた白菜と豚の背骨でとったスープにほくほくのジャガイモがごろごろ入っています。しっかりした味だけどさっぱりしている。
新宿で韓国映画を見た後に食べるのがお勧めです。特にホン・サンスの映画が合いそう。食事しながらおしゃべりして、日常なんだけど物語につながっていく感覚が味わえるかも。ふっくらした卵焼き「ケランチム」や浅漬けキムチ「コッチョリ」もぜひ一緒に。締めはご飯を入れて「ポックンパ(焼き飯)」ですね。
(聞き手・阿部 毅)
◆東京都新宿区大久保1の12の28(問い合わせは03・3205・9555)。
午後5時~11時。
ガムジャタン(ウゴジ)は1人前1800円。コッチョリ980円など。
店では差別化を狙ってあえて「ガムジャタン」としている。
月(祝は翌日)休み。
すぎの・きき 俳優・映画監督・映画プロデューサー。
2005年、韓国映画「まぶしい一日」(宝島編)に主演しデビュー。ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、釜山国際映画祭「アジアスターアワーズ」新人監督賞など受賞。