沖縄のパン屋さんが作った焼き菓子です。素朴だけど豊かな味。焼き菓子はあまり得意ではないのですが、これは「本当においしい」と思いました。軽くもなく重くもなく、でも満足感があるんです。
自著を出版したとき、トークイベントでお世話になった鳥羽和久さんにいただいたのが最初でした。福岡市で学習塾を運営する鳥羽さんは、「うす~くスライスしてちびちび食べるといいんだよ」と薦めてくれました。1センチもないくらい薄く切って、結局一度に3枚くらい平らげちゃうのですが、少しずつ大事に食べるのが楽しくて、ご褒美感があるのです。
卵、小麦粉、バター、砂糖……。きっと、選ばれた納得のできる材料で丁寧に作られているんだろうなと思います。私もお菓子作りをしますが、この味を自分では作れそうにありません。
今日持ってきたバッグは3年前、沖縄に行ったとき、宗像堂で買ったものです。市街地から少し離れた場所にある可愛い小屋みたいなお店でした。自然豊かで空気がきれいで、空も開けていて、「ここで作られているからあの味になるんだ」と、納得しました。沖縄の土地の空気が詰まっていると思うと、うれしくなります。特別なおやつが家にあると、幸せですね。
(聞き手・深山亜耶)
◆沖縄県宜野湾市嘉数1の20の2(問い合わせは098・898・1529)。
黒糖カトルカール1本1180円、1個290円。
午前10時~午後5時。不定休。沖縄県各地、福岡県、東京都に取扱店あり。メールで取り寄せ可。
宗像堂 公式ホームページ
https://munakatado.com/
うえもと・いちこ 写真家。1984年生まれ、広島県出身。2003年にキヤノン「写真新世紀」で優秀賞を受賞。著書に「かなわない」(タバブックス)、「愛は時間がかかる」(筑摩書房)など。