どちらかというとハード系の生地感のあるパンです。表面がすごくパリッとしていて、でも中はふわっとやわらかい。そのやわらかな部分の小麦の味と、表面のちょっと焦げた感じの香ばしい味が、口のなかで混ざっていってとてもおいしいです。かみごたえもあるので、かむほどに楽しい感じ。そこに、小豆のほどよい絶妙な甘さがプラスされて、いくらでも食べられる味なんです。甘すぎるとやっぱりどうしても「もういいかな」ってなるんですが、本当にちょうどいい。ここが毎回食べてしまう理由かもしれません。家でバターなどをのせると甘じょっぱくなって、それもおすすめです。
知り合いから、おいしいパン屋ができたらしいと聞いたのがきっかけで、はじめは親が買ってきてくれたんです。そこからすっかり気に入ってしまって、地元に帰るたびついつい立ち寄ってしまいます。
トランブルーって、デニッシュをはじめとしてきらびやかなパンも多い。ずらっとパンが並んでいて、行くたびに「素敵なところにきたぞ」と気分が華やぎます。その中だと大納言は素朴な感じもあったりしますが、そこが落ち着きます。他のパンも魅力的で、ついつい色んな種類を買ってしまいますが、大納言だけは毎回必ず購入しています。
(聞き手・中山幸穂)
◆岐阜県高山市西之一色町1の73の5(☎0577・33・3989)。330円。午前9時半~午後5時半。原則(火)(水)休み(その他不定休有)。
脚本家・小説家。1975年、岐阜県出身。2005年に「ゆくとし くるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、小説家としてデビュー。著書に「真夜中のパン屋さん」シリーズなど。