このテーブル、どこの席なのかだいたい分かります。店主の撮影でしたか。かろのうろんは撮影禁止なので、こういう写真を見るのは珍しいなと思いました。このごぼう天は、つゆに浸ってるのに最後までサクサクです。どうも福岡っていうのはごぼう天文化があるみたいですが、かろのうろんでごぼう天に出会い、ほかのうどん店でごぼう天を頼んでしまって、もう後悔。ゴボウって、「硬い繊維との戦い」と「いとおしさ」が紙一重ですよね。
メニューは豊富ですよ。でも考えるより先に「とじごぼう」って口が言っちゃうのは、このつゆから離れられないからでしょうね。ごぼう天の油、とき卵のやさしさに、つゆの塩気がちょうどいい。とじごぼうは、オーケストラではないな。ちょっとシンプルすぎる。全員主役なのに出しゃばらず、必要なときは前に。ヴィオラ・アンサンブルに近いかな。
福岡公演のときは、午後1時に現場入りするなら福岡空港に午前11時半に着く飛行機でもいいけれど、お店が開く時間に行けるように、もっと早めの便で。店主と無駄話しながら、とじごぼうを食べるのがいい時間。「福岡、来たな」って感じますね。一度じゃ足りない。仕事の予定を見ながら、隙間時間でお店に行けないか、ずっと見計らっています。
(聞き手・島貫柚子)
◆福岡市博多区上川端町2の1(☎092・291・6465)。880円。午前11時~午後6時(麺が売り切れ次第閉店)。(火)((祝)の場合は翌平日)、1月1日~3日休み。
すだ・さちこ ヴィオラ奏者。東京フィルハーモニー交響楽団首席。1976年東京都生まれ。主宰するヴィオラ奏者のみのアンサンブル「SDA48」の公演を1月8日(月)(祝)午後2時から、東京・紀尾井ホールで開催予定。