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私は私― 着物は着まへん
歌手 田中あいみさん インタビュー

 オールバックの前髪にポニーテール、鮮やかな原色の膝上ミニスカート、歌い終えると関西弁のトークで観客に笑いを誘う姿に、私の中の演歌・歌謡界のイメージがアップデートされました。10代、20代の若手が続々と誕生している演歌界。今回は、田中あいみさんに話を聞きました。デビューまでの道のりや、伝統的なイメージが強い業界への素直な思いを語っていただきました。(聞き手・田中沙織)

※田中あいみさんは3月14日の朝日新聞夕刊「グッとグルメ」に登場しました。

 

――デビュー曲「孤独の歌姫(シンガー)」のジャケット写真は、背景にバイクをかまえた革ジャン姿、2曲目「大阪ロンリネス」は真っ黄色のスーツで通天閣に背をもたせかけています。演歌・歌謡界では見かけたことのないようなイメージですよね。

 

 私たちは、まずは多くの方に覚えていただく必要があります。「ポニーテールの子」「派手なピンク色の衣装を着ている子」とかでイメージしてほしい。オールバックでポニーテールの演歌歌手なんて他にいないですよね。
 たまたま事務所の社長の前でこの髪形をしていると、「良いじゃん」と言われ、オールバックスタイルが定着しました。私の姿を多くの方に覚えていただけるように、あと5年はこのヘアスタイルで舞台に立つように言われています(笑)

 普段着もホットパンツにお腹を出したようなファッションが好きなんですが、デビューしてから、周囲の大人の皆さんに「さすがに、きちんとしたジャケットを一着は持っておきなさい」と言われました……(笑)

 着物はもちろん、ドレスも着まへん。正直、「歌えたらいいんじゃない? 衣装なんて……」って思う部分があるけど、こういうこと言っていたらいつか怒られるな……(笑)
 いわゆる、THE演歌・歌謡歌手の衣装を着る必要は無いと思っています。

 

――デビューしたのは2021年。レコード会社のオーディションを受けたのは高校生の頃。なぜこの道に?

 

 三歳の頃から、父にスナックに連れられていました。演歌や歌謡曲を聞くのが当たり前だったんです。「これが音楽か」というふうに、楽しく聞いて、歌っていました。
 小学3年生になると歌を習いたくなって、おじいちゃんやおばあちゃんしかいないようなサークルに参加するようになりました。でも、歌手になりたいとは思っていなかったんです。高校1年生の頃までずっと、警察官に憧れていました。

 「歌手になりたい」と強く思ったのは、周囲に勧められて受けたレコード会社のオーディションに落ちたのがきっかけでした。高校1年生の時です。落ちたことでやる気がでて、再挑戦しました。
 決勝で歌った、私が敬愛する歌手・一葉さんの「涙のリバー」(2006年)は、デビュー曲のカップリングとして収録しました。

 

――デビューした時は大学生でしたよね。学業との両立は大変ではなかったですか。

 

 当時はコロナ渦で、大学はオンライン講義でした。ステージの控え室で、片手にはオンライン講義中のスマートフォン、もう片手にはマイクを握りしめていたときもありました。なんとか乗り切って卒業できました。

 大学4年間は、仕事の度に上京していました。仕事を終えて京都に帰ると、京都駅まで両親が迎えにきてくれる日々でした。

 

――たくさんの20代が演歌・歌謡界で活躍しています。どうしても“昔ながら”なイメージがある業界。若手のみなさんの士気というのは、実際どういう雰囲気なのでしょうか。

 

 切磋琢磨し合う仲間であり、業界の将来を語り合うこともあります。
 昨年末に若い歌手仲間で集まる機会があり、ちょうど、紅白歌合戦(NHK)の出場歌手が発表された時期でした。演歌歌手の出場人数の少なさを重く受け止める反面、私たちはそれをポジティブに受け止めたように思います。
 「若い人に聞いてもらうにはどうしたらいいのか」「バラエティに出演しているメンバーでもっと頑張ろう」。業界のイメージを変えていこうと、更に士気が高まったと思います。

 不安はありません。私のパフォーマンスを見て下さった方、聞いてくださった方に、「この子の歌、良いじゃん」と思ってもらえるように努力したいです。応援したいと思っていただけるようになりたいと思っています。

 

――デビューから振り返ってみて、いま何を思いますか。

 

 最高です! そしてとても楽しい!

 でも、事務所に声をかけてもらえたからこそ今があります。レコード会社のグランプリを取ったからといって、デビューできるわけではありません。なかなか声がかからず、所属する事務所が決まらなくて、「どうしよう……」と思っていた頃もありました。
 そして細川たかし師匠率いる細川一門は、家族のような雰囲気です。姉さん(杜このみさん)や兄さん(彩青さん)もいます。ステージ袖ではいつも先輩たちの歌う姿を見て、聞いて、学んでいます。

 

――20代の演歌・歌謡歌手の皆さんは、みなさん口をそろえて「等身大の20代の人たちと変わりませんよ」と話されます。ステージ上で歌われる姿と、ファンの年齢層の高さから、どうしてもイメージが湧きにくく……。普段はどういう風に息抜きしていますか。

 

 学生時代はレディー・ガガさんにドはまりしました。ラッパーでシンガーのちゃんみなさんや、レゲエも大好きです。夏はフェスに行ったり、SNSで流行った音楽もたくさん聞きます。
 本当に、等身大ですよ!

 


田中あいみ

たなか・あいみ 歌手。2000年生まれ、京都市出身。自分自身を解放して旅立つ、かっこいい女性がテーマの新曲「私は私…」(カップリング曲は「噂(うわさ)ばなし」)を発売。

公式サイト
https://aimi-official.jp/

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