下町にある昔ながらのすしの名店です。穴子寿司(ずし)がとくに有名で、アナゴがふわっと軟らかく煮すぎていない。よくできていますね。ほかに無い、変わらない味で安心できます。妻と夜に訪れることが多く、折りで持ち帰ることも。小鉢を並べて、お任せで握る最近のすし屋とは違って、客が好みのネタを注文してから握る伝統的なスタイル。それから、やはりネタが違います。
私も、乃池さんと同じく素材にこだわったおいしい天ぷらを知って欲しいという思いで、33年間毎日のように店に立っています。2年前に頸椎(けいつい)を痛めて入院しましたが、お客様が待っているので2週間で店に戻りました。入院中に筋力が弱ってしまいましたが、最近は随分回復しました。
乃池さんのご主人は2代目。私も息子と共に店に立っています。すばらしい伝統を受け継いで長く店を続けることが大事だと考えています。
世界的に広く受け入れられているすしと同様に、天ぷらも大勢の人に知って欲しい。そのためには、若い方に天ぷらのおいしさを伝えて発展させないと。私の料理の原点は、母に作ってもらったサツマイモの天ぷら。今の子どもたちにもぜひ家庭で作って食べて欲しいと願い、おいしく調理できるレシピを考案しています。
(聞き手・高田倫子)
◆東京都台東区谷中3の2の3(電話03・3821・3922)。2800円(持ち帰りは折り代+100円)。月~土は午前11時半~2時(ラストオーダーは1時半)、5~9時(同8時半)。日・祝は午前11時半~午後8時(同7時半)。火・水休み。
こんどう・ふみお 1947年生まれ、東京都出身。2019年に天ぷら料理人として初めて「現代の名工」に。おうち天ぷらを格上げする秘伝を紹介した「完全版 『てんぷら近藤』主人のやさしく教える天ぷらのきほん」(世界文化社)が発売中。
世界文化社HP「完全版 『てんぷら近藤』主人の やさしく教える天ぷらのきほん」