昨年放映のテレビドラマ「VIVANT(ヴィヴァン)」でワニズ役を演じてから、街中でよく気付かれるようになりました。見つめられているだけのことが多いのは、僕がこわもてで、声を掛けづらいからなのでしょうか。たしかに僕に出くわしたら、僕も嫌ですからね。役も悪役ばかりです。悪役は、本当はどんな人物なのかと想像を巡らせると、楽しくなります。
稽古でくたびれると、無性に食べたくなるのが、うどん。「うどん慎」は7~8年前、1人で新宿を散歩していて、偶然見つけました。お品書きにつられて店に入ると、日本酒や焼酎がずらりと並んでいて、どこか懐かしい居酒屋のようでした。目の前でうどんを切って、ゆでてくれて。チーズと卵とバターとベーコン天。お店は明言していないのですが、これは“カルボナーラうどん”ですよ。ベーコン天なんて本当に器からはみ出ているんでね。
海外ロケに行くと、うどんの和だしの風味がたまらなく恋しくなります。「VIVANT」の日本大使館のシーンは、モンゴルのウランバートルから200キロメートルほど北方のダルハンという都市で撮影したのですが、そこにあった和食店のうどんも忘れられません。撮影のない日は、毎日通い、うどんばかり食べていました。
(聞き手・島貫柚子)
◆東京都渋谷区代々木2の20の16の1階。1640円。午前11時~午後11時(ラストオーダーは10時)。年末年始休み。うどん慎
こうち・やまと 俳優。1978年生まれ、山口県出身。ブラッド・ピットに憧れて俳優になる。5月にルーマニアで開催のクライオバ国際シェークスピア・フェスティバルに、演出・出演の「リチャード二世」で参加。7月5~28日、東京・PARCO劇場で舞台「オーランド」(栗山民也演出)に出演予定。埼玉、愛知、兵庫、福岡でも巡演。X