卵白がメインのお菓子は、実は今まで、独特の食感や歯にくっつく感じがあまり好きではなく、苦手意識を持っていました。このお店でもはじめは生菓子ばかり購入していましたが、いつも冷蔵ケースの一番上に並べられていて、お客さんがよく買っていく様子を見ているうちにだんだん気になってきて、ある日、勇気を出して一つ買ってみました。
食べてみたら、今までなんで買わなかったのだと後悔しました。皮がまったくねっちりとせず、口の中ではらはらと解けていくんです。そのまま言葉にするならばカシャッからのジュワーッて感じ。中のクリームは口溶けもよく、それぞれの味ごとに工夫を凝らしていて食べごたえがある。ケーキなどと比べて小ぶりなサイズにもかかわらず、1個で同じくらいの満足感が得られるところがすばらしいです。
おやつの時間は午後3時とよく言いますが、私は英国などでよくみられるイレブンジズをすることが多いかな。朝ご飯が早めなので午前11時くらいにちょうど小腹がすいてくるんです。
何回か通って順番に色んな味を試した結果、お気に入りはシトロンとマタン。どちらも甘酸っぱさとコクの加減が絶妙なので、コーヒーや紅茶はもちろん、暑い季節はきんと冷えたほうじ茶と合わせるのも素敵です。
(聞き手・中山幸穂)
◆東京都世田谷区用賀4の29の5グリーンヒルズ用賀ST1階(☎03・6447・9406)。1個330円。正午~5時。原則(火)(水)休み。
さかき・つかさ 作家。1969年生まれ、東京都出身。2002年、「青空の卵」でデビュー。「ホリデー」シリーズ(文芸春秋)、「和菓子のアン」シリーズ(光文社)など著書多数。最新刊は今年3月発売の「うまいダッツ」(文芸春秋)。
Ryoura