スイーツに目がありません。お酒は飲めない体質なのですが、甘いものは毎日いただきます。年々、和菓子のおいしさにひかれるようになってきました。中でも、20年以上好んで食べているのが、1909(明治42)年創業のそば菓子店「澤正」のそばぼうろです。初代が考案し登録商標をお持ちだそうで、今も当時の製法のまま、一つ一つ手作り、手焼きを守られています。知人からお土産にいただいて、初めて食べたときは衝撃でした。素朴なお菓子という先入観をすべて超えてきた。まず、そばの香りがものすごくいい。そして、カリッと歯ごたえがありながら、驚くほど口どけがよくて、後味はすっきり。「素にして上質」とは、まさにこういうことだなと。いつも気づいたら1袋食べ切ってしまっています。
季節ごとに食べたくなり、お店まで出向きます。閑静な場所で、近くには名刹もあって観光も楽しめますよ。3代目が始められたそば茶寮で、そば会席をいただいた後、そば茶と一緒に買って帰るのが恒例です。
高座では1時間半以上演じ続けることもあり体力勝負の仕事ですから、食事は妥協せず体が欲するもの、体にいいものをとるようにしています。その点でも安心して食べることができるお菓子だと思います。(聞き手・三田由美)
◆京都市東山区今熊野宝蔵町10の8(☎075・561・4786)。あっさり風味の「そばきり」との詰め合わせ(1袋648円)が人気。午前9時~午後6時。奇数月は水曜、偶数月は火曜(祝日除く)休み。オンラインショップでも販売。
かつら・しゅんちょう 落語家。1975年生まれ、大阪府出身。2009年三代目桂春蝶襲名。13年「咲くやこの花賞・大衆芸能部門」受賞。今年で芸歴30周年。10月5日に大阪の池田市民文化会館小ホールで「桂春蝶 芸能生活三十周年記念 独演会」を開く。