東京・人形町には、お仕事でいつもお世話になっている着物屋さんがあります。去年の夏、着物を新調した帰りに、柳屋さんの鯛焼(たいやき)と出会いました。
行列の折り返しができるほどにぎわっていたのを覚えています。飲食店に並び慣れていない私は、「たい焼き屋さんに行列?」と驚きました。しかし、暖簾(のれん)を下げた老舗感漂う店構えと、一つひとつ型で焼く職人さんの姿にそそられてしまって。「迷うくらいなら」と、20分ほど列に並びました。
パリッとした薄めの皮に、甘さと塩気のバランスが良いあんこがたっぷり詰まっていて、私にとってまさに黄金比。それからは、衣装合わせ後のご褒美として買うようになりました。
いつも三つほど購入します。一つはその場ですぐいただいて、残りは保存用。冷蔵庫で冷やして、ひんやりとしたたい焼きもおいしいんですよ。
山形県鶴岡市で生まれ育ちました。地元に大判焼き屋さんがあって、高校生の頃、よく友人たちと立ち寄りました。もしかすると、その味と思い出を求めているのかもしれません。
両親が会いに来てくれたときは、柳屋さんの箱入りを皆でいただきます。東京で見つけたおいしいものは、ついつい紹介したくなるんです。
(聞き手・田中沙織)
◆東京都中央区日本橋人形町2の11の3(問い合わせは03・3666・9901)。
180円(税込み)。一つずつ焼く「天然物」が特徴。
箱詰めは6個から(別途箱代)。
午後0時半~6時、(日)(月)休み。
はやま・みずき 演歌歌手。
1991年生まれ、山形県鶴岡市出身。2016年デビュー。
酒場を舞台にした名曲やバラード曲を収録したカバーアルバム「みずきの愛唱歌 ~山形生まれの癒(いや)しのコブシ~」が発売中。
羽山みずきさん 公式サイト
https://www.crownrecord.co.jp/s/c01/artist/hayama/news?ima=3854