モンゴルから来て食事で困ったことは、いっぱいあります。炊きたてのご飯は食べられないし、野菜も生ものもあまり食べられない。部屋のちゃんこに少しずつなじんでいったけれど、向こうは肉食だったので、近くの牛丼店とかに毎日行っていました。そうこうする間に両国にモンゴル料理の「ウランバートル」ができたんです。
すごくうれしかったですね。入門してから数年間はずっと恋しかった。当時の大島部屋から近かったから、食べに行けない時は電話して、羊の肉を塩ゆでしたものを買って部屋に持って帰ってきて食べていた。毎日食べている時期もあった。部屋のみんなもモンゴル料理が好きになった。塩ちゃんこの時はだいたい買っていた。肉を骨から外して、どんぶりにいれて、塩ちゃんこのスープをかけて。めちゃくちゃうまかった。
お店でのお薦めはその骨付き羊肉の塩ゆで「チャンサンマハ」。まずはこれを食べてほしい。肉好きな人は羊肉を食べた方がいいと思います。できたてをその場で食べるのが一番おいしい。
それと、肉うどんのような焼きうどんのような「ツォイヴァン」も大好き。きしめんみたいな平たい麺で、小麦粉からこねた手作りです。これも食べてほしいですね。
(聞き手・鈴木芳美)
◆東京都墨田区両国3の22の11(☎03・6411・4298)。3850円。ランチ午前11時半~午後2時半、ディナー午後5時~10時(金曜は11時まで)。土曜は午前11時半~午後11時。日曜は午前11時半~午後10時。ラストオーダーは30分前。
1974年生まれ。モンゴル出身。92年に来日。大島部屋入門。96年新十両。2012年幕内最高優勝。15年引退。22年に大島部屋を再興。東京都葛飾区内に移転し、今月、部屋開きを行った。