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叩いて!鳴らして! 目指せブレーメン
ブレーメンの音楽隊 ロバさん

 色のついたパイプで体を叩き、曲を演奏する動物のかぶり物をした4人組「ブレーメンの音楽隊」。顔はもちろん声さえも出さず楽しげに音を奏でる様子は多くの注目を集めており、スーパーマリオの曲を再現した動画は1000万回以上再生されています。
(聞き手・中山幸穂)

※ブレーメンの音楽隊は、10月3日のグッとグルメに登場しました。

 

ブレーメンの音楽隊 打楽器演奏のカルテット。メンバーはロバ、イヌ、ネコ、オンドリの4人(匹)。音がなるパイプを演奏する動画がYouTubeはじめ各種SNSで人気。YouTube登録者数26.2万人、TikTokフォロワー数37.9万人。

YouTube(@bremen-no-ongakutai)   TikTok(@bremen.town.musicians)

 

▼ブレーメンの音楽隊 自分のパイプを探しながらシリーズ!!「天国と地獄」

 

 

――グループ名がグリム童話の一編と同じですが、由来は。

 扮装して演奏しようということだけ決まっていたときに、たまたまテレビ番組でブレーメンの音楽隊のアニメが放送されているのをみて、4人(匹)だしちょうどいいなと思って。後付けで物語になぞられたりもしていますけど、実は最初物語とかは全く考慮していませんでした(笑)。でも決めたら面白くなってきて、最後はブレーメンで演奏会をやってゴールにしようと決めました。物語の「ブレーメンの音楽隊」は、途中で見つけた家に住み着いて終わるのでブレーメンには行かないのですが、僕らは行きつこうと。ドイツのブレーメンには「ブレーメンの音楽隊」のモニュメントもあるらしく、音楽もすごく盛んな地域なので、そこで演奏したいです。

 

――「ブレーメンの音楽隊」として活動を始めたきっかけを教えてください。

 元々メンバー全員打楽器奏者なんです。僕はドラム奏者で、和太鼓奏者など別ジャンルのメンバーもいます。みんな仲のいい友達で、自分たちの腕を生かして楽器でショーみたいなものをやれたらいいなと考えていました。ただ打楽器を普通に演奏しても一般の方には飽きられてしまうのではないかと思い、扮装するなりして見た目を面白くしようとしたのが始まりです。初期の頃は白い箱をスティックで叩いていました。打楽器以外で打楽器の経験を生かしてできることを色々調べていたら、海外でブームワッカー(ドレミパイプの別名)を演奏に使っている方々を見つけ、面白そうだったので自分たちも買ってみました。試しにドレミパイプを使った簡単な動画を上げてみたら結構反響がよく、これを極めることに決めました。

 

ドレミパイプとは

アメリカで1995年に製品化されたパイプ型の打楽器。海外ではブームワッカーと呼ばれている。ドレミの音程に調律されたプラスチック製のパイプで、叩くと音階が鳴る。専用のスティックを使って演奏することもできる。幼児リトミックや子供の知育玩具としても用いられることも多い。

参考:ドレミパイプ&ボディミュージック協会 https://doremi-pipe.com/doremipipe/
   株式会社日本娯楽 http://www.nihongoraku.co.jp/products/selectBrand.php?b1=ps&b2=Boomwhackers 

 

――ドレミパイプはパイプの長さで音が変わる楽器だと思いますが、叩く場所によっても音の高さや質感は変わるのでしょうか。

 強さで変わります。ギュって握ってしまうと音が締まっちゃうので鳴りにくい。軽く持ってパンって鳴らすのが一番綺麗になります。白い箱など硬いものを叩くときはちゃんと鳴るんですけど、体を叩く時はなかなか難しいです。 人の体では太ももが一番綺麗に鳴ると思います。太ももでも骨の部分に近い部分を叩くのと、筋肉があるようなところを叩くのとでは音の質感が違います。骨に近い部分は筋肉があるところに比べて、固い音になってしまい余韻がなく聞こえます。結構力強く叩くので、何回もやり直していた初期の頃はみんな太ももがアザだらけでした(笑)

 

――ドレミパイプの最高音と最低音は。

 まず鍵盤の中央にあるドレミファソラシドとシャープなどの半音、それより上はソまで。下は同じパイプにオクタベーターと呼ばれる黒いキャップをつけることで1オクターブ下げることができるので、もう一段階下のドまでいけます。だから全部で2オクターブ+ソかな。 1オクターブ下の音は専用のパイプもあります。なので下の音階用のパイプにキャップをつければ、もう1オクターブ下の音も鳴らすことが可能ですが、聞こえづらいしそこまで使う曲はなかなかないので僕らもやったことはないです。 高い音域があまり広くないので、キーを下げて演奏したりなど工夫しています。

 

ブレーメンの音楽隊が使用しているドレミパイプの音域(赤線部分)

 

 

――パイプの長さによって叩くコツは変わりますか。

 基本的に当てるだけで音は鳴りますが、パイプが短くなるにつれ音が聞こえづらくなってきます。なのでちょっと跳ねるように勢いをつけて叩く。逆にパイプが長い時は音が響くので特に勢いとかを考えず普通に叩きますね。

 

――今まで経験してきた楽器とドレミパイプの違いを教えてください。

 普段使用している打楽器には音階がないので、今まであまりコードについてなど考えることはありませんでしたが、ドレミパイプは音階やコードを考えながらつくりあげるので、新鮮ですごく面白いし楽しいです。 誰でも簡単に音を鳴らせる楽器ですが、多人数で1曲演奏するのは結構大変です。例えば、「タカタカ」っていう1つのリズムがあったとして、2つめの「カ」を自分が叩いて、後は別の人、ということになるんですね。まずは自分の叩くところと音を覚えて、数人で合わせて1つのリズムにする。左右も普通の打楽器だと気にしなくていいんですよ。「タタン」ってリズムを打つとき、右からはじめても左からはじめても一緒じゃないですか。でもドレミパイプは音階があるので、左右逆に叩いてしまうと音が違ってしまう。全員でひとつのリズムをつくることはすごく難しいのですが、その分みんなで出来た時の達成感を感じられます。

 

――曲を覚えるだけでも大変なのに、さらにタイミングを合わせて動きながら演奏していて本当にすごいなと。

 そうなんですよ。記憶力との勝負です。時間かかるものは1曲で3時間かかったりもします。

 

――ちなみに……マスクはどこまで見えているのでしょうか。

 キャラクターによっても違いますが全然見えてないですよ。ちっちゃい丸を指で作って覗いてる感じに近いかな。最初は慣れてなくて全然見えませんでしたが、段々その視界に慣れてちょっとずつ見えるようになってきました。 最近イベント出演した際にMCをする機会があって、喋っているときに酸素が足りなくてクラクラしてきたんですよね。なので下の方にめちゃくちゃ小さく穴を開けて空気が抜けるように改造しました。

 

――10月21日には、楽器店員と一般投票で「今年、楽器の楽しさを伝えてくれた人」を決める、一般社団法人全国楽器協会主催の楽器店大賞2024「プレイヤー特別部門」にて大賞を受賞しました。

 ブレーメンの音楽隊の活動を始めてから、賞を頂いたのが初めてだったのですごく嬉しいです!大賞を取れたのは、投票してくれたファンの皆さんの力なので、本当に感謝しています。こんなにもたくさんの方に応援していただいているということも今回で改めて実感できましたし、これからもみんなに喜んで頂けるような作品を作っていきたいです。まずはお祝いを兼ねたライブがやりたいな(笑)

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